「お前、あんまり無理すんなよ?」


「何が」


「…。」


「何も無理してないよ。いつも通り」



お互いに煙を吐き出しながら視線を空へと向ける。


早々と吸い終えた翔は2本目の煙草に火をつけた。


翔は浪人してるから、年は一つ上。


たった一つしか変わらないのにやけに大人っぽく見える。


だからなのか、たまに私の小さな変化に気が付く。


私もそれを誤魔化すのに必死だった。


2本目の煙草に火をつけようとしたときに何気なく携帯を取り出し圭介にメールをしてみた。


なんでもない、単なる暇つぶし。


いつもの事。




「メール?客?」


「営業メールなんてやらないよ。私。後輩に暇つぶしメール」


「お前の後輩も大変だな」



そう言って翔はハハハと声を出して笑った。


低音でハスキーな翔の声はどことなく落ち着く。


煙草を吸い終わった私たちは小さな火種をつぶして、カフェテリアへと戻った。