その時、隣の音楽室からピアノの音が聴こえた。


曲名はわからないけど、耳にした事のあるクラシックの曲だった。


そよ風のような心地のいい音色だった。



「先輩かな?」

「でもさ、先輩だったら歌ってる気がする…」

「それもそうか」



あたしの答えに花月も納得したようだった。



「それともさ…?」

「ん?」



花月は意地悪そうな笑みを浮かべ、声を潜めて言った。




「お化けだったりして…七不思議的な?」

「え!?」



心霊現象とか、そういうものが大嫌いなあたしは眉をひそめ、嫌悪感をあらわにした。


それが面白かったのだろう。


彼女はケラケラと笑っていた。



「ご飯食べたら、音楽室行ってみよ?」

「そうだね」



そう言ってあたし達のランチタイムは再開された。