「・・・」



私の弾んでいた胸が急に締め付けられる。



「男の欲望に翻弄された花魁の君には…嫌な世界だな…」



「今でも吉原は変わっていないのね…」



「…明治時代に入っても遊郭は存在したからな。今でも…遊郭の名残で…風俗店は営業している。男にはこの世の桃源郷、女には生き地獄…」




生き地獄か…


地獄だと感じた記憶は嬉しいコトに綺麗さっぱりと忘れている。

私が持つ記憶は三郎さんと過ごした甘く切ない夜の戯言だけ。



「…吉原の空気は人には見えない淀みがあるらしく、それを陰陽師に祓ってもらう」


「へぇ~っ」