―グイッ!―

あたしは鬼の手首を掴んだ。

鬼の肩の近くを、勢いを利用するように押す。


ズダ―――――――ン!!!


鬼の体が床に叩きつけられる。



「ほう・・・」

絹糸の驚いた声が聞こえた気がした。


門川君は、やっぱり無表情で見ているだけ。



じー様が教えてくれた護身術。

空気の流れ、力の流れ、中心。作用。


『物騒なご時世だから』

それがじー様の口癖だった。

まったくその通り。


まさか鬼相手に役立つなんて思いもしなかったけど!