確かに薄々は気付いていた。

最初っから。


幻覚にしては、ものすごくリアルな現実感だから。

てゆーかそもそも、あたし今まで幻覚なんて見た事はないけど。


でも、あんまりにも突拍子もない状況だったし。

これを現実だって認めちゃったら・・・。

こんな場所にいる自分を認めちゃったら・・・。


そしたら、あたし、自分が崩壊しそうだったんだもん。


だから、認めたくなかったのに。

認めないために、幻覚だって思い込もうと必死に頑張ってたのに。

なのに、ついに聞いちゃった。


『これは現実だ』って・・・。


じわあ、って涙が両目に盛り上がってきた。

視界がぼやける。

つうっと頬に涙が流れて、視界が晴れて、すぐまたぼやけた。

「うっ、うっ・・・」