握りこぶしを振り上げながら必死の形相で演説するあたしを、猫は冷静に見ていた。


ぜえ、ぜえ・・・っ。

こ、これくらいでいいかな?

訴え、届いたかなー??


「小娘」

「なにっ!? 帰してくれるの!?」

あたしは希望に胸を躍らせた。


「お前、もしや事情をまったく知らぬのか?」

「え?」


猫は長いしっぽをふわりと動かし、首を傾げる。


「幻覚やら夢やら叫んでおったが」

「?」

「しかし、部外者には扉を開けることも叶わぬはずじゃが」

「??」

「能力のある、事情を知る者でなければ扉は開かぬのだ。絶対に」

「あの?」

「なぜお前が扉を・・・。うん?」

猫が鼻先をぴくんと動かした。