「それを言ったら、君こそ大切なおじい様を亡くしたばかりだ」

「門川君・・・」

「大変だったろう?」

「うん・・・」


じー様が死んだ直後は、本当に忙しくて。

悲しむヒマもなかったくらい。


大切な人を亡くした直後で。

なのに、何でこんなに大変な思いをしなきゃならないの?

じー様の事を偲ぶ時間さえないなんて。

そう思うと、よけいに情けなかった。



門川君が優しい声で言った。


「時間が経つごとに、優しい気持ちで亡き人を偲べるようになるんだよ」



門川君はどこか遠くを見るような目をしていた。

お父さんとお母さんの事、思い出してる?


彼もきっと、あたしと同じ気持ちを味わったんだね。


門川君・・・。



「ところで、永久の生母はのぉ、父親の『愛人』というやつじゃったんじゃよ」