調子に乗ってたあたしの背中に、絹糸が冷静な声で待ったをかけた。

あたしの調子はピタリと止まる。


「僕の生母は、もういない」

「・・・」

「異形のモノとの戦いで殺された」

「・・・・・」

「父も、母と共に殺された」

「・・・・・・・」


あたしは、背中に冷や汗をかいたまま固まってしまった。



ど、どうしよう・・・。

そんな事情とはつゆ知らず・・・。


あたし、ノーテンキにも「マザコン~」なんて言っちゃった・・・。


すっかり立場を無くしたあたしは、ただもう、オロオロ。

意味もなく岩の隙間に手を突っ込んで引いて、の動作を繰り返した。


い、いたたまれない~っっ。

自分の大バカ―――っ!!



「そんなに気をつかわないでくれ。もう、ずいぶん昔の事だよ」

「あ、あの、ごめんなさいっ」

「気にしないでくれ」

「このたびは、えーっと、ご愁傷様・・・」

「だから、昔の話だよ」

彼は少し笑った。