「ノドが渇いたんだろう? さあ」


彼の大きな手の平。

意外なほど男っぽい指。

それに包まれて、輝いて揺れる透明な水。

きらきら。きらきら。


こくん・・・とノドが鳴る。


絹糸の、はやし立てるような視線。

染まる頬。

あたしは・・・



そっと、唇を触れた。



唇に伝わる冷たさは、水の温度? それとも・・・


唇から、のどへ。

流れる清らかな味覚。

体中に染み渡っていくのを感じる。


味も匂いもしないのに・・・

不思議に、ほんのり甘くせつなく感じてしまう。


胸の高鳴りと共に。