恐怖のあまり声が出ない。

声を出すよりもなによりも、まず逃げる事を優先するように本能が命じている。

もう片方の足で鬼の手を蹴り飛ばそうとした。

でも・・・



ぶらんっ

一瞬早く、鬼があたしの足を持ち上げて逆さまに吊り上げた。



ぶらん、ぶらん・・・



身体が頼りなく揺れる。

その目の前に、赤色の皮膚。

鬼が・・・

鬼の体がすぐ目前に・・・。