それは美玲の表情を見ても、よくわかった。がっかりしているのが、あからさまだ。
そんな二人を気にする事もなく、感じの良いスタッフはチャペルに案内した。
荘厳な扉を力を込めて開けると、そこには七色(にじ)の世界が広がっていた。ステンドグラスにちょうど日光が強く差し込む時間なのか、チャペル内を美しく彩る。そして側に木々があるせいだろう。風に揺れる葉が揺らめき、幻想を増す演出家になっていた。
息を呑んだ。続く沈黙。スタッフはそれを見越していたようだ。だから何も話しかけずに黙っていた。
どれほどの時間、沈黙は続いていただろうか。口を開いたのは美玲だった。
「これって・・・」
「どうかなさいましたか?」
小さな声でも聞き漏らすような状況ではなかった。すかさずスタッフは返事をした。
「あ、いや、なんでも・・・。ただ、すごいなって」
「ステンドグラスですね。これはヨーロッパから職人を呼んで作らせたものなんですよ」
「だからかぁ」
「何がですか?」
「どこかで見た気がするなって。テレビとかかな」
「かも知れないですね。わりと有名な職人の方なので」
「そっかぁ」