唇に柔らかな感触がした。 その次の瞬間には、 目の前がスッと明るくなった。 『…すみません…。』 まだ少し低めの声が 目を反らしながら謝罪する。 反らした先に何かを見つけたのか、 一瞬動きが止まった。 『……あっ…………手…』 そう言われて起き上がりながら 彼の視線の先をたどると、 さっき掴まれた自分の手首に 赤々とした跡がついていた。