『驚いたといえばこっちこそ!
高校生だったなんて…。

大人っぽいって言われるでしょ?』


『そんなことないです。
ハンバーグひとつで浮かれるくらいだし』


『あはは!浮かれてたんだ?』


『…そーですよ!
茉莉亜さんもガキっぽいって思ったでしょ?

さっき笑われたし…』


『…?…っ!あれは違…』



ちょっと拗ねたようにそう言う君は
やっぱり可愛くて、
なんだか心が暖かくなるのを感じていた。



『ハンバーグ、好きなの?』



君の綺麗な瞳が
私の眼の奥を捕らえる。



『好きです。』



じっくり目を見て言うから、
一瞬自分の事かとドキリとした。




『…というか、
昔に一度だけ母が料理を
作ってくれたことがあって…

そのハンバーグが美味しかったんです。』



『…一度だけ?』



『母は家事は気まぐれにしか
やらない人なんで。』



……気まぐれにしか?



『家事はお手伝いさんがいるので
困らないんです。』



…私の困惑を察したかのように
慣れた口調で淡々と言う。



『…あ!

でもこの前は
作ってくれてたじゃない!』



『…あの日は、

結局料理は食べられませんでした。』


『…どうして?………あっ!
もしかして帰るのが遅くて
食べさせてもらえなかったとか…?!』


酷いことしちゃった?!わたし…


『いえ!違います。
全然違うんです…』


君は少し悲しそうな顔をして笑った。


『…あの人は自分のことしか
考えられない人だから…』