そして……
柔らかな風が……
春の匂いを運んでくる4月………。
新入社員を迎え入れ、職場はより……
賑やかになっていた。
新人の指導係に任命された私は、右も左も何もかもわからない相手に……
苛立っていた。
なぜなら、コピーのひとつもとれない、
パソコンもExcelのみしかしたことがないというツワモノが…
入社してきたから。
「めっずらしーよね、今時。どこの箱入り娘だったのかねえ。てか…、よくウチの会社受かったよなあ…。」
見兼ねた美帆が、時々ちょっとしたおやつをデスクに置いて…気を紛らわせてくれた。
(Ca入りのお菓子ばっかりだけど…。)
「……はあ~……」
人に教えるのって、自分でするより倍面倒臭い。
一年目は誰しもが何もわからないのは当たり前…。
それをどう処理していくか、どう覚えていくかは本人次第であるが……
…に、しても……
要領が悪い。
あっちを頼めばこっちを忘れ……
指摘されても、また同じ間違いをくり返す。
そう考えると……
去年の都築くんは立派だったな。
わからなければちゃんと教えを請うし、多少の事なら自分の意に沿って判断していた。
散々頼み事をしてきたから、逞しくも要領よくもなってきている。
「…早く成長してくれ~…!」
コピー機と格闘する新人の背中を見つめながら…
アタマを抱えた。
「…平瀬さん。恒例の花見なんですけど、再来週の末でいいッスか?」
…噂の都築くん。
「…ぉお~待ってました!もちろんOK!都築くんご苦労様~。」
「…お疲れ様です。」