それからの日々はまさに……




順風満帆。





「…はりきってんなあ…。」




同僚が呆れ返るくらいに、浮かれ……


それでも、仕事は順調。





同じ職場に彼氏がいるってこんなにスリルがあって……ワクワクするものなんだと、初めて感じた。



以前にはない感覚。




それは……




本当の愛を手に入れたからだと言っても過言じゃない気がした。




私と博信は、仕事の合間に逢瀬を重ね、


時には家に一緒に帰宅した。



話題の店でディナーをしたり、



眠っていた『女』の私が目覚めたかのように……



鏡の前で、行ったり来たりを繰り返す。




そんな日々が続いていた。




さみしくなんかはなかった。



そんな時はいつも……


博信が側に居てくれたから。





そんな、幸せな日々の中で……



気掛かりが、ただひとつ。





鳴らない携帯電話。



聞こえることのない生活音。




あのクリスマスから…



1か月、2か月と過ぎ……




ひと冬が越えていった。





それでも……



お隣りの晴海くんからは連絡も……



偶然会うことも……





なかった。




私は帰宅の際にいつも……




右隣りの部屋を確認する。



「………。」



近くにいるって……


そう言ってくれた。



友達だって言ってくれた。



それでも……



晴海くんにとっては、社交辞令のようなもので…


実は私のことなど、大して気にも留めていなかったのだろうと……


思わざるを得なかった。