えっと……。



私のベッドには博信がいて…。


寝るって言っても、そこに戻らなきゃいけないということで……。




「…ううん、目…覚めたから、起きてるよ。」





今更ながら、この状況にココロがついていけない。




何なの…、私。





「……。ふ~ん。」



ぎしっとベッドが軋む音がして…



博信の姿が、私の真後ろに映される。



「……一緒に過ごせて……嬉しかった。」



背後から抱きしめられながら……



脳内が痺れるような感覚に陥る。




私は……



博信の腕に、そっと手を添えた。




彼の温もりは……


彼の側にいることは……



なんて、心地いいんだろう。



それだけの安心を……
いつもいつもこの人は、惜しみなく与えてくれていたはずだった。




逃げ出したのは…、私。





彼の深い愛情が怖くて…、


自分の身勝手で受け損なって………。





なのに……


何故今…



こんなにこの手が惜しいとさえ思うんだろう。




「…やり直そう、俺達。」




「……え…?」




「もう二度と、手放したりしない。…お前のペースでいいんだ。時々、俺を見てくれればそれでいい。それでいいから…、もう、失いたくはない。」



「…………。」



私の…

ペース?



「…仕事を抱えて、不器用なお前が恋愛に没頭できるなんて思ってはいない。すぐに悩みを抱え込んで…自分でがんじがらめにしてしまうから。俺はそういうお前の負担になりたいんじゃない。苦しみも…悲しみも、喜びも全てを半分にできるような…、そういう存在でいたい。お前に一番近い人間でありたいんだ。」



「…博信……。」