いつもこうして、肌身離さずに身につけていたんだ……。


知らなかったな……。





…おっと………。

今、それ所じゃあなかったんだった……!




「…晴海くん、起きて。」



「………。」



「…晴海くん、大変。久住が来てる。」



「…………!」



『久住』の名前に……


晴海くんは、ガバッと起き上がった。



「…久住さん?やば、俺寝て……?」



目を擦り、まだ半分寝ぼけているのが……



正直、かわいい。



…いやいや、だからそれどころじゃ……。



「今、玄関の外に。」



「………マジで?…どうする?」



「大丈夫、すぐ帰るみたい。それに…、美帆と一緒にいることになってるの。だから…美帆には悪いけど、酔い潰れたことにして。」



「……嘘つくの?」



「…正直に言ったら完全に誤解を招くでしょう?」



「…………。修羅場か。なんなら派手にいく?平瀬さんと二人ソファーで横になってさ。」



「…バカっ。できるわけないでしょ!」



バシっと一発……


突っ込む。



「…いい突っ込み♪」




……なんとまあ……



呑気な!




「…と、とにかく…博信には帰ってもらうから、悪いけど晴海くんはここで静かにしてて。」




「…横恋慕はさすがにマズイか。……りょーかい。」



「ごめんね、じゃあ…行ってくる。」



「…はいはーい。」






タオルケットを頭から被って……



顔だけちょこんと出す君に……



後ろめたさは拭いきれなかった。



でも……



今向き合うべき相手を…


間違ってはいけない。




人には……





嘘をつかなければいけない時がある。






人を傷つけないためにつく……






優しい嘘………。