『よッ。よっぱらってるか~?』



………。



「ははっ……ほろ酔いですよ~。」



そうだ、私は美帆と一緒に呑んでることになってるんだ……。



携帯を握る手から……冷や汗。


まさか他の男の人と一緒だなんて……


言えない。



『俺も都築と呑んでたんだ。』


「……。そうなんだ?」


『つい、ここでタクシー降りちゃった。』


「……ん?『ここ』?」



まさか………?




【ピンポーン……】



『………。今晩、泊めてよ。』



「…………!!!!」



ま………

まずい!!!




「ちょっ、ちょっと待って。今美帆が酔い回ってて……。」



必死の言い訳。


今……
家に寄せることなんてできるはずもない。



『………大丈夫なの?』



「……大丈夫。ちょっとそこで待ってて、5分くらい!気持ち悪そうにしてるし、見られたくないと思うから……。」



『まーた酒に呑まれたかあ…。わかった。ひと目会って帰るから。』



「…ごめん。じゃあ一旦切るね?」




電話を切って少しの間…


私は放心状態。




いつの間にかソファーに横たわる晴海くん。



幸せそうな顔……。



いやいや、それどころじゃないし!

事情説明して隠れてもらいとかしないと……



「……うーん……。」



寝返りを打った彼の首元に……



何かがちらりと顔を覗かせていた。




「……あ………。これって……。」



そこにさげていたのは……





彼と知り合うきっかけとなった、あの指輪をつけたネックレス……。


胸元で、その存在を……



まるで、主張しているかのようだった。





「…………。」



晴海くんが……


大切にしているもの。