「………お互い、他に大切にしなきゃいけない人がいるってわかってるのに……なのに……、行き場のない想いが、ずっとあった。」



「……………。」




「…どうしたら…いいんだろう。」



「……平瀬さん……。」



「…どうしたらいい?」



「…………それは……俺が決めていいの?」



「…………。」



「…秘密にしたらいいんじゃない?」



「……え?」



「会いたい時に会って、気ままに過ごす。彼氏や彼女にはない何かが…お互いにあるんだとしたなら……。」



「…それって……。」



「……浮気……ではないよ。浮気なんかじゃない。友達…だろ?」



「………うん。」



「…浮気になっては…続けることはできない。」



「……うん。」






「…おっと…、お湯冷めちゃう。早く珈琲のもー。」



「…え…、あ…、ハイ……。」





なんて……


切り替えの早い!!



流石は俳優さん。







「…ねえ…、晴海くん。」




ソファーに座り、二人並んで珈琲を飲む。




「…ん~?」



「…仕事柄かな…?誰にでもあんなことできちゃうの?」


「あんなことって?」



「…キスするフリとか…。」



「……。できなくもないだろうけど…、どうでもいい奴にわざわざしたくない。」



「…ラブシーンとか…、慣れっこでしょう?本当に好きになったりはしないの?」


「…そういう奴もいるな。


「…晴海くんは…?」


「いちいち好きになってたら、キリないよ。」



「…そうだろうけどさ……」



「…気持ち入ったキスは、好きな人にじゃなきゃできない。」


「…へぇー……」