顔を上げた晴海くんの視線と、執拗なまでの私の視線とが……



からみあった。




…や、ヤバい!!



顔に蒸気が上がる。




「…そ、掃除機ねッ!」



私は思い切り顔を逸らして……



玄関前の物置へと走った。









「…ヤバいな、この豆を挽く感覚、癖になりそう。」



豆を挽く晴海くんは終始機嫌が良さそう。



「…俺も買おうかなぁ…。」



……えっ…


でもそしたら……



「…でも…、ここに来る理由がなくなっちゃうか。」



……そうだよ、そうでしょうとも。


けど…


「……。なんだ、いつもコーヒー目当てだったの?」


…我ながら…、変な質問。



「……違うよ。そんな訳ないじゃん。」



「…ふーん…、どうだか…。」




なんなんだろう、


近くなればなるほど……




君のことが、知りたくなる。



つい……


変なことばかり、言ってしまう。






「…飲みたくなったら…、いつでも来ていいよ。」



「…ん。けどさあ…、久住さんに誤解されるんじゃない?」



「…大丈夫だよ、晴海くんは別っ。なんか言われたら説得する。……てか、説得してくれるって言ってくれたじゃん。」



「………平瀬さんは…素直だね。」



「……え?」



「こうやっていい人ぶって…、俺達友達だからってのうのうと上がり込む男を……そう簡単に信じていいの?」



「…………?」



「…騙してるだけかもよ?あわよくばカレシから奪ってやろうなんて…思ってるかもしれないじゃん。」



「…でも……晴海くんは違うでしょう?間違ってもそんなことはしない。」



「…………。」