あの日から私は泣けなくて、
涙は既に枯れ果てて、
どんなに嬉しくても…
どんなに悲しくても……
流れることはなかった。
…許されなかった。
そんなことはあるはずはないのに…
あってはならないはずなのに……
生暖かいその一筋の軌跡は、何かの間違えであると…
思いたかった。
こんな嘘の涙を……
私は知らない。
最後にぎゅっと抱きしめられた後…
「ラーメン食べに行こ。」
「…はい…?」
晴海くんが、私の顔を覗きこんだ。
「…近くにあるんだ、旨いラーメン屋。」
「…そ…、そうなんだ……。」
今更ながら…
顔が熱い。
「彼氏に誤解されるから嫌?」
「……!そんなこと…!ない…。」
これじゃあ暗に彼氏がいるって言ってるようなもんだ。
「…大丈夫。誤解されそうになったら、ちゃんとその誤解解くから。何度でも、納得するまで…。」
「………。大丈夫だよ。」
「…そう?じゃあ…、決定。」
「…ん。」
「…よし、行くか。」
「……うん!」
私は……
流されたのかもしれない。
晴海くんという誰にもかえがたい…
たくましくて、
強くて、
やさしくて……
そんな唯一無二の存在を、失いたくなかったのかもしれない。
手が届く今だから……
掴めば消えてしまうような、そんなはかない幸せだと知っていても……
ずっと、ずっと、
どこかで…
続いていけばいいと。
そう……
思ってしまっていた。