ピンポーン……





部屋のインターホンが鳴った。



「ハイ」




『私っ、早く開けて~っ』



「…ちょっと待ってね。」



私は一旦ガスを止めると……



玄関へと急ぐ。



ドアを開けてすぐに……



美帆の姿が見てとれた。




…てか、何してんの?




不審に思いながらも……



私の視線は、彼女の足元へと移る。




「…………?」



紙袋が置いてある。



しかも……

何かが出てきてる?




「ちょっ…、美帆?何コレ…?!」



私は慌ててサンダルを履くと…


玄関の外へ出て、早速袋の中身を確認する。




……ええっ!


「わあ~っ、これ、日本酒じゃん!瓶割れてるよ、勿体ないっ。……て、ねえ、美帆?」



ふと顔をあげると。



彼女は横を向いたまま…微動だにしない。



その視線を辿ると……。






「……………?!」






何故か…、



晴海くんがただ黙って…



こっちを見ていた。






「……わこ。」




美帆の声に……、ハッと我に返る。




「ハルミさんて、隣りに住んでるんだよね。」




「……うん、そうだけど…。」




「…それって、アンタのお隣りさんが宇野晴海だってこと?」



「……え…。」



返答に……



困る。



ちらりと晴海くんに目をやると……



彼は一度だけ、大きく頷いた。



…バレたってことね。




「……そうだけど。」





みるみるうちに……


美帆の顔つきが一変する。



「………すっご~い!!わこ、何で今まで黙ってたのよ!」



かなりの興奮ぎみ。



「…いや、最初私も気づいてなかったし。」



「マジで!…てか…、二人は顔なじみっていうか…、仲がいいんだよね?」



これも……



返事に困る。




「…そうですよ。」



見兼ねたのか……


私に代わって、晴海くんがサラリと言ってのけた。