放課後。
輝が一旦帰るのは面倒だと言ったのでまっすぐ向かうことにした。
霧斗の家の前に着き、皆順番に入っていく。
しかし私は入らないで一番後ろにいた霧斗に「着替えてくる」と伝え、自分の家に帰る。といっても隣だけど。
「ただいま。」と一言だけ言い家に入ると2階の自分の部屋に入る。
私の部屋は、ダークブルーの壁に細かい星のようなものが描かれている。
見た目は夜空をイメージして作ってもらったのだ。
私はなぜか、女の子らしいピンクやフリルなどが嫌いでこの部屋のデザインを考える前、部屋一面をピンクにしようとしていた母を止めて正解だったと日々、心から思う。
シュル……………という音をたてリボンをはずすと本や参考書などが並べられている机の上におく。
すると目に入った、幼いころ約束とともに霧斗からもらったおもちゃの指輪。
雨の日、私は肺炎と診断され入院していた。
そのときにお見舞いに来てくれた霧斗は涙目でこれを私に差し出しながら
『おれがお前をもらって結婚する!だから死ぬな!』と言いながら私に指輪をくれた。
そのころの霧斗は霧斗の兄である雲夜君(くうや)に肺炎になったら死ぬと聞いて私にあんなことを言ったらしい。
小さいころの話しだし、もう霧斗はなんとも思ってないかもしれない。でも私はそれでも霧斗が好きなんだ。
っと早く行かなきゃ……と思い急いで着替えて窓を開け、屋根に出るとまた窓を閉めた。
そして軽くまたぐ。
霧斗の家に用事があるときは大抵屋根をわたる。
ガラッ
「あ、本当にきたし!」と輝がびっくりしたように私を見ながら言う。
「何のこと?」と聞いた私に答えてくれたのは零。
「あぁ、坂下がさ伊川に窓の鍵開けとけって言ってさ………伊川がなんでって聞いたらそこからゆう来るからって坂下が。」
「あぁ、それで本当にきたし……なんだ。私、いつも霧斗に用事あるとき窓からだし。」と言うと輝がびっくりした顔を霧斗に向ける。
「マジだぞ。こいつも俺も行き来するときは窓だ。いちいち玄関からなら疲れんだろ。」
と霧斗が返すと輝がポカーンとする。
「そんなに意外?」と私が訪ねると「なんか納得」と輝がまたうるさくなる。