夜10時、空は星でいっぱいだった。
「宮森さん、今日はごめんな。」
「ううん、美香さんは?」
「寝た、かなり疲れてるみたいだったから。」
「毎日、仕事あるの?」
そう聞く宮森さんの声は震えていた。
「んー…土日は必ずあるけど、平日は2日くらい入れてる。」
「嫌じゃないの?」
「うん。」
「体…売るなんて…」
「汚い、仕事だと思うよ。一般的にはね。」
俺には綺麗な仕事だ。体と言うよりも…愛に飢えてる人に愛を売ってるんだから。
「やめなよ…。」
「生活、どうするの?」
「え…、」
「これで俺は食ってんの。」
「学費は…どうしてるの?」
「母さんが払ってる。」
「じゃ…」
「でも、それは貯金から。母さんはどこに居るのか分かんない。俺よりも男が大事だから…。」
母さんに本当は愛されたかった。母さんも俺と同じようなことをしていたけど…深入りしすぎた。壊れてしまった。
「でも、俺はそんな母さんを軽蔑したことない。不思議だよな…。」
「そんな、ことないっ…っ…」
「泣きすぎ。」
「ふぇ…っ…」
「そろそろ中入ろ。」
「う、ん、…っ」
星が本当に綺麗。
「やま、なかっ…くん…」
「コウくんって呼んでよ。みんなそう呼ぶからさ。」
「うんっ」と笑う宮森さんは星よりも輝いて見えた。