「付いてきて。」
今は7:00。ちょうど良い時間だな。
「こんな時間だけど、大丈夫?」
「うん、友達の家に止まるって…」
「え?」
「あ…っ!!」
まじかよ。
ま、欲情も何にもしないから大丈夫だけど。
「俺の家泊まってけよ。」
「へっ?」
照れた。期待してんのかよ…。
「何にもしないよ。」
「だ、だよねっ!!」
「ちょっと、コンビニで服着替えて良い…って宮森さんもその格好はダメだな…。」
五万あるし大丈夫か…。
「どこがいい?」
「あ、じゃ…あそこ。」
あー…あそこは俺よく行くんだよな。安いし可愛いから女は喜ぶし…。
「いらっしゃいませ…ってコウくんっ!!」
「久しぶり、愛さん。」
「隣は彼女?」
「違うよ。」
愛さんは現役大学生だ。凄くチャラチャラしてるけど医者になる、というしっかりとした夢がある。
「コウくんには本気になったらだめだよ?」
「え…?」
「変なこと言わないでよ。」
「だって、そうじゃん!!」
宮森さんはおろおろして何が何だか分からない状態だ。
「愛さん、この子に似合いそうな全身コーデお願いします。」
「りょーかいっ♪」
「隣使っていい?着替えたいから。」
「いーよー」
しばらくして宮森さんは試着室から出てきた。
「凄く似合ってる。」
「あ、ありがとう…」
「で、愛さんいくら?」
「えっと…全部で5000円。」
「はい。」
「じ、自分で払うよ!?」
「いーよ、俺に付き合って貰ってるんだし。」
「コウくん、生活費大丈夫?」
愛さんは冗談混じりに聞いたけど…本気でやばい。制服が買えないかも…。
「今月は人数増やす、おっさんとかも捕まえてやる。」
「おじさんはやめなよー。」
愛さんは大爆笑。
「お、おじさん…?」
ま、分かんないの当然だな。
「ね、コウくん?」
「ん?」
「傷つけちゃダメだよ?」
「うん。」
「よしっ!!」
「ありがとう、愛さん。」
俺は愛さんの姉貴っぽいところが好きだった。
「宮森さん、行こっか。」
「ここって…」
「ホテル街。彼女のふりしてくれる、勧誘とか危ないから。」
「うん。」
強引に手を繋ぐと握り返してくれた。顔はリンゴみたいだし…。
「ふっ。」
「えっ?」
「リンゴみたい。」
あ、ますます赤くなった。
「ははっ。」
「山中くんのばかっ!!」
「バカじゃないよ。」
笑いながら言うと、「1位だもんね。」と宮森さんは言った。
そんな話をしていたら目的地に到着した。
「ここで人と待ち合わせしてるんだ。」
「へぇ…。」
今日は美香さんだったよな…家に泊めるだけでいいんだっけ。