あわただしい馬の蹄の音がして、伝令が神殿駆け込んできたのは、十三夜の月がちょうど真南にのぼった時だった。那智が血相を変えて、知らせてきた。 「館より急な知らせにございます。ヤギラがアゲハを人質にとって逃げたと」 「なんだと」 ハバキと姫夜は血相を変えた。