月が上弦の太った月に形を変え、いよいよ満月の日が近づいてきた。おおかたの男たちが出払った館はしんと静まりかえり、働く女たちの顔も鬱々として晴れず、常のいくさとは違った黒雲に心を覆われているように見えた。
 姫夜が神殿の祈りの間で祈りを捧げていると、那智が入ってきて静かに声をかけた。

「カリハさまがお会いしたいといっております。いかがなさいますか」

「すぐに通してくれ」