仕事の手を休めて、花を刺繍した前掛けで手を拭いながら厨から出てきたアゲハは、姫夜からできあがった歌を受け取ると、みるみる頬を染めた。

「ああ……なんてすばらしいんでしょう。あたしの歌ではないみたい」

 うっとりと云って、ふいに狼狽したように前掛けをもみしぼった。