安日がするどくたずねた。

「カツラギの姫神は――厄災とともにある恐ろしき禍津姫と聞いております。まことにその姫夜に神が降りたもうたとして、それは目出度きことといえましょうや?」

「確かにかのものも戦さのただ中に現れた。だがこう捉えてはどうか。モモソヒメはみずからを日の女王と呼んでいる。そしてカツラギの神は水の姫。日すなわち火をしずめるものは、水。わしは長として、老い先短い命をこの占に賭けてみようと思うておる」