好き…だけどつらいよ…



「大丈夫…?っ…えとね…、
さっき…部活の帰りに歩いてたら…
湧井くんと、山里くんがいて…
なんかおかしい、とおもって…、
そしたら湧井くんに
弥生がこっちに走ってったって
きいて…」


……。

「…なんかあったの?」

「あ…」



っ…どうしよう…
話すと…涙がでてきちゃう…


「弥生。話しなよ。余計つらいだけだよ?」

「っ、わかっ…なぁーー!」



それからわたしは
泣きながらも少しずつ

若菜にさっきのこと、
そしてわたしの思ってることを伝えた。







「…そ、かぁ…弥生…辛かったね…」

若菜はわたしの頭と背中を
優しくさすってくれた、、、


「ぅう~~…わた、っしはぁ…
グスッ…まだ…好きっ…なのにぃ!」

「うん…」

「でも…っなんで…
いまさらくるのっ!?

忘れようってときに…くるの!?

わたしのことなんて、、、
もうどーでもいいんじゃないのぉ!!?」


言い終わったわたしの目からは

身体中の水分がなくなるほどの
涙が流れ出す。。。


「なんで…っなんでよぉ!!」


「弥生…」

泣き叫ぶわたしを
力強く抱いた若菜は心配そうな
声でわたしを呼ぶ…

「弥生、今日はうちに泊まんな?」

こんなんじゃいえ帰れないでしょ?

そう付け足した。



「わ、かなぁ…ありがとぉ…」



───────────
─────────

「あら!弥生ちゃん、いらっしゃい
久しぶりねぇ~!」     

若菜の家につくと
若菜のお母さんが迎えてくれた。

「こ、んばんわ」

さっきあんだけ泣いただけあり、
ちょっとしどろもどろしてしまった。


「弥生、うえいこ?」

「うん」

若菜によばれ、二階にあがる。




「ん。そこらへんでくつろぎな」

相変わらずの女の子らしい
ピンクや白で統一された部屋。

ベッドはうさぎやくまのぬいぐるみ。

整理された戸棚には
メイク道具がたくさんならんでいる。


「…やっぱ若菜の部屋って落ち着く…」

「ふふっそぉ?
…ま、今日はね…ゆっくりしなね」

…ほんと、、若菜はなんで
こんなにわたしを理解してくれるのかな…


嬉しすぎて泣けてくるよ…

「ちょ、弥生!?
またなんで泣いてんのよー!」



へへ、、若菜…ありがと。



湧井があいつを狙ってる…?


んなことありえるかよ!
つか…んなの俺がゆるさねー!


あいつは…花園は俺のだ!





なんで…なんであいつは…
湧井と帰ってんだよ……。




後ろから眺める二人の姿は

ほんとに仲のいいカレカノみたいで、、





「廉!」

後ろから聞こえる声に
反応してふりかえる。

「皐月?」


「…あれ。ほっといちゃだめでしょ!?」

そういって前の二人を指差した。



「っ…だよ、な」


皐月のひとことで俺は前を
進んでいくあいつらにむかって走り出した








仲良く歩く二人は
俺に気づく気配もない。


「花園!」


思いもなしに言葉がでた。



振り向く花園の顔は

なんとも不思議という顔をして…





話したい…

話したい。

伝えたいんだ。 いまなら…


いまなら俺の心をさらけだせる。

俺のすべての思いを伝えられる。



意を決して…呼びつけたんだ。


「こっち…きてよ」





だがあいつは…

俺を無視するかのように
戻って歩きだそうとする。


湧井と一緒に、、、




「っ花園!!」

我を忘れるかのように
俺は叫んだ。




すると花園は立ち止まった。




少しホッとしてる俺がいる。




が…
発せられた言葉は…

あまりにも残酷なものだった。




「なんなの!?いまさら…

いまさらわたしのとこに来ないでよ!

…なんの用がある、の??
貝塚さんといればいいじゃん!!

わたしとの時間なんて…
なくてもいいんでしょ?

もぅ…いいよ。
疲れた。


別れよ…」












"別れよ"…?

ちょっとまてよ…



わけわかんねーよ…


なんだよ時間って…

そんなん…なきゃ困るだろ!?

なにが…なくてもいいんだよ…




そんなことを言いたくても…

言えなくなった。



なんでそんな目で

俺を見るんだよ…



なんでそんな…

泣きそうな顔してんだよ…






それだけいうと花園は
どこかに走っていった…



追いかけたい…

追いかけたいのに…足が動かない…



その場で立ちすくむ俺を

花園がいたところから睨み付ける…



湧井がいた。



「…廉、おまえ…さいてーだぞ」


っ…なんでんなことてめーに
言われなきゃなんねんだよ!

「あいつのこと考えたことあんの?」

…黙れ…

「あいつがいつも!
どんな思いでお前を想ってるのか!

考えたことあんのかよ!!」


「うるっせーよ!!
俺だって…俺だって不安なんだよ!

あいつが…花園が俺のこと
どう思ってるかとか…

聞きたくても聞けねーんだよ!」
「だから貝塚といるのか?

おかしーだろーがよ!!
んなことするくらいなら
弥生のそばにいてやれよ!」


っ…


言い返したくても

湧井の言ってることは
正しいことだらけで

なにもいえない…





「え、あれ?
湧井くん!?と…山里…くん?」



俺の背後から聞こえてきたのは

花園の親友の…

高浜だった…

「なに…してんの?」

「…高浜。頼む、あっちに
弥生が走ってったから」


湧井の言葉で高浜がなにかを
悟ったように花園の向かった方へ
ダッシュで向かっていった。




「…廉。少し話そうぜ」


「っ…あぁ」



俺は湧井にしたがって
近くにあったファミレスに入った。






「…で?なんで廉は
弥生苦しめることしてた?」

頼んだコーヒーをテーブルにおいて
落ち着いた声で話す湧井…

「俺は…ただあいつの気持ちが
知りたかった…」

「それってさ。
弥生に嫉妬してもらいたかった?」



…なんでこいつまで……

皐月とおんなじこと聞いてくんだよ


「…はぁ」

なにも言わない俺に
しびれをきらしたのか
ため息をつく…。


「で、おまえはなんで今日
追いかけてきたんだよ?」

なんで…って…


「お前がおれに嫉妬したんじゃねーの?」


っ!!

な、なんなんだよこいつ!!