そう言いはなったわたしの目は
山里くんを睨み付ける…
涙をうかべながら。
「っ、は…?
なに、いってんだよ?」
「別れよ…て、
もともと付き合ってたって
言わないよね…あんなの」
「花園…!
「もう話すことない…ごめんね…」
それだけ言いきって
わたしはもう一度、
山里くんに背を向けて…
走りだした。
「ふ…っ…、!」
ひたすら…
無我夢中で走る。
どうして…
どうして、、、
あんなこといっちゃったんだろう…
これでもう…終わっちゃった…。
ほんとは、、
そんなことが言いたかったんじゃない。
ただ……
ただ…かまってほしかったんだ。
でももう伝えられない…。
「っ山、里くんっ……」
走りつかれて
いつのまにか来ていた公園に
泣き崩れた…
「なんで…なんでぇ!?
っう…ああああーーー─────」
とめどなく涙があふれでる。
「っや、よい!」
泣き腫らした表情(かお)で
ふりかえる…と
「わ…かな?」
そうつぶやいた瞬間に
抱きつかれた。
「っ弥生!!弥生…」
「え、、若菜…?」
なに?なんで…若菜がここに?
「大丈夫…?っ…えとね…、
さっき…部活の帰りに歩いてたら…
湧井くんと、山里くんがいて…
なんかおかしい、とおもって…、
そしたら湧井くんに
弥生がこっちに走ってったって
きいて…」
……。
「…なんかあったの?」
「あ…」
っ…どうしよう…
話すと…涙がでてきちゃう…
「弥生。話しなよ。余計つらいだけだよ?」
「っ、わかっ…なぁーー!」
それからわたしは
泣きながらも少しずつ
若菜にさっきのこと、
そしてわたしの思ってることを伝えた。
「…そ、かぁ…弥生…辛かったね…」
若菜はわたしの頭と背中を
優しくさすってくれた、、、
「ぅう~~…わた、っしはぁ…
グスッ…まだ…好きっ…なのにぃ!」
「うん…」
「でも…っなんで…
いまさらくるのっ!?
忘れようってときに…くるの!?
わたしのことなんて、、、
もうどーでもいいんじゃないのぉ!!?」
言い終わったわたしの目からは
身体中の水分がなくなるほどの
涙が流れ出す。。。
「なんで…っなんでよぉ!!」
「弥生…」
泣き叫ぶわたしを
力強く抱いた若菜は心配そうな
声でわたしを呼ぶ…
「弥生、今日はうちに泊まんな?」
こんなんじゃいえ帰れないでしょ?
そう付け足した。
「わ、かなぁ…ありがとぉ…」
───────────
─────────
「あら!弥生ちゃん、いらっしゃい
久しぶりねぇ~!」
若菜の家につくと
若菜のお母さんが迎えてくれた。
「こ、んばんわ」
さっきあんだけ泣いただけあり、
ちょっとしどろもどろしてしまった。
「弥生、うえいこ?」
「うん」
若菜によばれ、二階にあがる。
「ん。そこらへんでくつろぎな」
相変わらずの女の子らしい
ピンクや白で統一された部屋。
ベッドはうさぎやくまのぬいぐるみ。
整理された戸棚には
メイク道具がたくさんならんでいる。
「…やっぱ若菜の部屋って落ち着く…」
「ふふっそぉ?
…ま、今日はね…ゆっくりしなね」
…ほんと、、若菜はなんで
こんなにわたしを理解してくれるのかな…
嬉しすぎて泣けてくるよ…
「ちょ、弥生!?
またなんで泣いてんのよー!」
へへ、、若菜…ありがと。
湧井があいつを狙ってる…?
んなことありえるかよ!
つか…んなの俺がゆるさねー!
あいつは…花園は俺のだ!
なんで…なんであいつは…
湧井と帰ってんだよ……。
後ろから眺める二人の姿は
ほんとに仲のいいカレカノみたいで、、
「廉!」
後ろから聞こえる声に
反応してふりかえる。
「皐月?」
「…あれ。ほっといちゃだめでしょ!?」
そういって前の二人を指差した。
「っ…だよ、な」
皐月のひとことで俺は前を
進んでいくあいつらにむかって走り出した
仲良く歩く二人は
俺に気づく気配もない。
「花園!」
思いもなしに言葉がでた。
振り向く花園の顔は
なんとも不思議という顔をして…
話したい…
話したい。
伝えたいんだ。 いまなら…
いまなら俺の心をさらけだせる。
俺のすべての思いを伝えられる。
意を決して…呼びつけたんだ。
「こっち…きてよ」
だがあいつは…
俺を無視するかのように
戻って歩きだそうとする。
湧井と一緒に、、、
「っ花園!!」
我を忘れるかのように
俺は叫んだ。
すると花園は立ち止まった。
少しホッとしてる俺がいる。
が…
発せられた言葉は…
あまりにも残酷なものだった。
「なんなの!?いまさら…
いまさらわたしのとこに来ないでよ!
…なんの用がある、の??
貝塚さんといればいいじゃん!!
わたしとの時間なんて…
なくてもいいんでしょ?
もぅ…いいよ。
疲れた。
別れよ…」
"別れよ"…?
ちょっとまてよ…
わけわかんねーよ…
なんだよ時間って…
そんなん…なきゃ困るだろ!?
なにが…なくてもいいんだよ…
そんなことを言いたくても…
言えなくなった。
なんでそんな目で
俺を見るんだよ…
なんでそんな…
泣きそうな顔してんだよ…