そうしてあっという間に
夏休みがおわった。
「弥生っ!」
「あっ若菜ぁ♪」
「…なんなのそのうっれしそうーな
笑みは…」
だって…
夏休みのほとんどで山里くんと
メールのやりとりしてたんだもん!
内容は他愛もないことばっかりで
山里くんのメールはわたしを
いつも楽しませてくれたんだ。
「よかったじゃん♪で?いわないの?」
またそれか!
「言わない。このままでもいーもん」
「……けなげな子だねぇー。」
なんじゃそりゃ(笑)
~♪~♪~♪
ん、
休み時間にケータイが
バイブとともにランプが点滅する。
「メール?」
「う、ん…」
「どしたの?」
…この点灯の光のいろ……、
「山里くん…だ」
青の鮮やかなあかりが
わたしの瞳にはいる。
「えっ!だって、学校だよ?」
…なんだろ?
あたしはない頭をはたらかせて
考えるけどなにも思い付かない。
疑問をもちながらもメールをひらく。
──────────
件名:無題
──────────
いきなりごめんな!
今日の帰り、
一緒に帰れないか?
話したいことあんだ!
ーENDー
──────────
え、?
「やったじゃん!弥生!!」
っ///
なんで?
こんなお誘い…
断れないよ…?
期待してもいいの…?
二学期にはいったとき…
一番に目がいったのは
花園の姿だった。
夏休みにメールをしまくった
だけあって
そのぶんずっと
あいつの声が聞きたかった。
電話…もしたかったが
なかなか言い出すことが
できなくて結局メールどまり。
俺があいつ───
花園に惚れたのは
ずっとまえ…
ちょうど一年前だ。
きっかけは
俺のダチが花園の親友である
高浜と付き合ったからで、
一度だけ高浜の紹介を
うけたときにひょこっと
そいつが…高浜の後ろから
出した顔に…。
いままで感じたことのない
緊張を感じたんだ。
これが……そう。
俺の初恋。
ーー授業後ーー
がんばってねぇ~♪
笑顔で若菜はテニス部へむかった。
「ちょ…友達思いじゃないやつー!!」
こっちは緊張はんぱじゃないのに!
はぁ…
いつも以上に脈の動きがはやい。
これ脈拍はかったらやばいだろーなぁ。
うん。
少しずつクラスの人数が
パラパラと減ってきて
残っているのは
わたしをふくめて4人。
真面目ちゃんはノートに
もくもくと何かかいてて、
男の子は…
え!?ねてる…??
そして
わたしと…山里くん。
わたしは窓側の席でたたずむ…
伏せ目で廊下はじの山里くんを
みるとなにかそわそわしながら
立ったままでいた。
っ!
じっと見てたらちょうど
こっちを向いた山里くんと
目があってしまった。
…これって、
いったほうがいいよね?
てかいかないといつまでたっても
帰れないし!!
わたしはかばんをもって
山里くんにかけよった。
「ん、じゃ帰るか」
「っうん」
気まずいながらも
少し安心しているわたしがいる。
山里くん、だからかな?
「あー…と、花園って
電車通学だよな?」
「うん、山里くんも?」
「おう」
…会話終了。
あれ。
会話が続かない…。
「…ぶはっ なんだこれ!」
「ふえっ!?」
沈黙を破った山里くんが
いきなり笑いだした。
「ど、どしたの!?」
なんでそんな…爆笑??
「だって…、何で俺らこんな会話
すくねぇの?休みにあんなけメール
してたくせにな!」
……
「ふふっ!ほんと…そぉだよねー!」
ずっと笑い続けている山里くんに
つられてかわたしまで
おかしくなってきちゃった!
それからは山里くんが
メールのときみたいに
たくさんの話題をふってくれて
さっきのが嘘みたいに
会話がはずむようになった。
やっぱり…わたし、
山里くんのこと
「好きだなぁー」
……ん?
あれ!?
いま…
我にかえって山里くんをみた。
山里くんのかおは
誰が見てもわかるほど真っ赤だった。
「っ、今の…は、その…
だぁぁ!!なにいってんだおれ!!」
そう。
さっき発せられた言葉は
山里くんのものだった。