好き…だけどつらいよ…




「ふっ…ぅあ…っ
うぇーーん…もぉ…むり…っ
辛いよぉ…!わかなぁーー」

よしよし
と若菜は抱きしめながら
わたしの頭を撫でてくれた。


「いいよ…全部だしきっちゃえ!」


「うっ…わぁぁぁぁん」




それからお昼休みはずっと
若菜のむねで泣き続けた。。。









お昼休みの終わりのチャイムがなる。



「あ…」

どうしよ…こんな腫れた目じゃ
教室はいれない…


すると若菜が
「…今日は午後の授業サボろっか」

そういってくれた。


若菜…。

「ありがとう…」




あっ…


恭介くんにメールしとこっかな。

帰りのこと伝えなきゃ


「んーーっ!
ひっさしぶりにサボったけど…
中庭ってすごく気持ちいいね」

若菜は体をグッとのばして
寝っころがった。

「そうだねぇ…
前サボったのっていつだっけ?」


「んーと…たしかあれじゃん?
5月の球技大会!」

あ。そうだった。





遡ること5か月──…。





「C組ゆうしょーーーう!」

「「「おーーーっ!!」」」


バレーコートで円陣を組んだのは
わたしたちC組。






二年生になって間もないから
あまりまだ親しくない人ばかりだった。

わたしは体育は好きだけど
唯一球技だけは苦手で…
まだ一番ましなバレーに出ることにした。


そこで若菜と仲良くなったんだよね。




わたしのチームは

わたし、若菜と
桜庭 華《さくらば はな》ちゃん、
中西 雄也《なかにし ゆうや》くん、
井上 さとるくん、
そして…山里くんだった。







このころはまだわたしは
全く山里くんのことを知らなくて…

興味なんてさらさらなかった。


けど練習を重ねていくうちに
一番下手なわたしに付き添って
スパルタながらも
手取り足取り教えてくれて。


だんだんと彼に惹かれていったんだ。




そして迎えた本番。

『いままでの全部をだしきろーな!』


そう言って笑ってくれた
山里くんの笑顔が
とても輝いていた。







が…実際試合になって…。



わたしは相手のアタックを
もろ顔面に受けてしまった。






「花園!!」
「弥生!?」

チームの声が聞こえるなか
わたしは気絶してしまった。







「ん…… 」


うっすらとする意識の中、
目を開くとみえたのは
真っ白な天井だった。

「弥生!」

「若菜…?」

「よかったぁ…たいしたことなくて…」


あー…わたし顔面にボール
くらったんだっけ?

「…ね、弥生。
山里くんねーすーーんごく
かっこよかったんだよ?」

「え…」

まって?その言い方…

「あ。勘違いやめてね?
あたし彼氏いるし(笑)」

それを聞いてホッとする
わたしがいる。


え、あれ?わたし…



「弥生っここまで運んだの
誰かわかる?」

へ?

「先生…じゃないの?」

「山里くんよ、山里くん♪
お姫様だっこなんかしちゃってさぁー」



っええっ!///

「おぉ?弥生かお真っ赤だよ?」

だって…そんな…

「弥生…山里くんのこと
好きなんでしょ?」

「えっ?///」

「ばーればれだって!」

うぅ…さすが若菜…。


「んで?いつからなの??」

わたしが山里くんを好きって
わかった途端にズカズカ質問してくる。

「……若菜、時間!
他の球技はじまっちゃうよ」

「話そらさなぁーい
今日はさぼる!どうせ弥生も
でれないんだし

んで?どーなの!?」

…はぁ。

若菜にはかなわないや…


「…多分…球技大会の練習の
とき、かな?
少しずつ…だけど好きになってた」

若菜は
へぇ~♪
と言いながら目を輝かせて
わたしの話を聞いていた。





「告白は?」

……

「は!?」

「いやいや、告白!!
いつ言うの?」

っむりだよ
だって学年1の人気者だよ?

わたしなんて…


「あたしね~、弥生がおもってるほど
脈なしじゃないと思うけど?」

なにを申しますか。若菜さん。


「まっガンバんな!」

「ぅぅ…」



自分で山里くんを好きって
気付くと…


それから毎日のように
山里くんを見つけては見つめてしまう。


そのたびに若菜には
冷やかしをうけてたけどね