好き…だけどつらいよ…




「わかった」

「…帰りにでも誘いなよ」

「それは…無理だろ
さっきの約束きいてたろ?

あいつは今日、湧井と帰んだよ」


自分でいった言葉に
傷ついてる自分がいる。

「……なんかばっかみたい!

そんなこといってるから
うまく恋愛できないんだよ!
じれったいわね!」


さ、皐月??

「なんならあたしが花園さんに
声かけてきてあげようか?」

「っ、大丈夫だから!!

…わーったよ!」

いけばいんだろ…



俺は屋上をあとにした。




はぁ…




ゴリゴリ。


「ん?」

地べたにレジャーシートをしいて
お昼を食べていると
若菜が地面に正の字をかいていた。

「…若菜、それ何の回数?」

「んー?
弥生のため息の回数」


え。

数えてみると

24回。

「弥生ー…この10分で何回
ため息ついてんの」

自分でも思った



なんで?


「弥生は…さ、
言ったことはいままで
全部実行してきたよね」


…、「そだね?」

「…山里くんのことも?

ほんとに忘れることできる?」



っ…

「弥生」


「だって…もぉ…苦しい…」

苦しいんだよ…

二人を見ているのが…


「っ、山里くんはっ
わたしとの時間…いらないんだよ?」


貝塚さんといるほうが
多いじゃん…


「…弥生…
泣きなよ。大丈夫だよ
誰も見てないから」



っ…


若菜のひとことで
わたしの涙腺がゆるみ


一気にたまっていた涙が溢れてきた。






「ふっ…ぅあ…っ
うぇーーん…もぉ…むり…っ
辛いよぉ…!わかなぁーー」

よしよし
と若菜は抱きしめながら
わたしの頭を撫でてくれた。


「いいよ…全部だしきっちゃえ!」


「うっ…わぁぁぁぁん」




それからお昼休みはずっと
若菜のむねで泣き続けた。。。









お昼休みの終わりのチャイムがなる。



「あ…」

どうしよ…こんな腫れた目じゃ
教室はいれない…


すると若菜が
「…今日は午後の授業サボろっか」

そういってくれた。


若菜…。

「ありがとう…」




あっ…


恭介くんにメールしとこっかな。

帰りのこと伝えなきゃ


「んーーっ!
ひっさしぶりにサボったけど…
中庭ってすごく気持ちいいね」

若菜は体をグッとのばして
寝っころがった。

「そうだねぇ…
前サボったのっていつだっけ?」


「んーと…たしかあれじゃん?
5月の球技大会!」

あ。そうだった。





遡ること5か月──…。





「C組ゆうしょーーーう!」

「「「おーーーっ!!」」」


バレーコートで円陣を組んだのは
わたしたちC組。






二年生になって間もないから
あまりまだ親しくない人ばかりだった。

わたしは体育は好きだけど
唯一球技だけは苦手で…
まだ一番ましなバレーに出ることにした。


そこで若菜と仲良くなったんだよね。




わたしのチームは

わたし、若菜と
桜庭 華《さくらば はな》ちゃん、
中西 雄也《なかにし ゆうや》くん、
井上 さとるくん、
そして…山里くんだった。







このころはまだわたしは
全く山里くんのことを知らなくて…

興味なんてさらさらなかった。


けど練習を重ねていくうちに
一番下手なわたしに付き添って
スパルタながらも
手取り足取り教えてくれて。


だんだんと彼に惹かれていったんだ。




そして迎えた本番。

『いままでの全部をだしきろーな!』


そう言って笑ってくれた
山里くんの笑顔が
とても輝いていた。







が…実際試合になって…。



わたしは相手のアタックを
もろ顔面に受けてしまった。






「花園!!」
「弥生!?」

チームの声が聞こえるなか
わたしは気絶してしまった。







「ん…… 」


うっすらとする意識の中、
目を開くとみえたのは
真っ白な天井だった。

「弥生!」

「若菜…?」

「よかったぁ…たいしたことなくて…」


あー…わたし顔面にボール
くらったんだっけ?

「…ね、弥生。
山里くんねーすーーんごく
かっこよかったんだよ?」

「え…」

まって?その言い方…

「あ。勘違いやめてね?
あたし彼氏いるし(笑)」

それを聞いてホッとする
わたしがいる。


え、あれ?わたし…