そこで
衝撃の会話を聞いてしまったんだ。
「弥生、今日ひまー?」
…は?
湧井…?お前…なにいってんだよ
そいつは俺の彼女だぞ?
「んー?暇だよ♪
どーせいつもひとりだし」
ズキッ……
花園の放ったひとことが
俺の心を痛めつける。
俺が…
冷たくしすぎたからか?
だから…
湧井と?
そのとき俺は
となりにいた皐月の存在を忘れるほど
花園と湧井のことを見ていた。
「あ…なんか久々に
弥生の笑顔みれたな」
「だねっ♪」
…なんで、?
俺といるときは…
作り笑顔ばっかだったじゃんか?
なんで
湧井といると
笑顔になんだよ……
くそっ…
聞きたくても聞けない
弱い自分が憎らしい…。
「廉……」
「ははっ、…いいよ
昼休み…今日聞いてみるわ」
ついでに昨日来なかった理由も
聞かないとな…。
そう思ったのに…
昼休み
花園はこなかった。
…もう俺ら…終わりなのか?
こんなに…好きなのに…。
キィ……
「廉?」
「…皐月」
「ごめん…来るつもりなかったのに」
「いや、いいんだけどさ…」
「安心して。花園さんは
高浜さんと食べにいったから」
すげ。
皐月にはお見通しって訳か。
「なんで…ここにこないんだろな」
俺がそうつぶやくと
皐月の眉がピクッと
動いた気がした…。
「…ねぇ廉…あの、さ
あたしたち…もう一緒にいるの
やめない?」
え…、
「どした?」
「…廉は。
彼女だけをみなよ
湧井くん…狙ってるよ」
っ!
「湧井くんに奪われちゃう前に
廉が行動しなきゃだめでしょ?」
……ほんと…
皐月のいうことはすげぇな。
説得力がはんぱねぇよ
「わかった」
「…帰りにでも誘いなよ」
「それは…無理だろ
さっきの約束きいてたろ?
あいつは今日、湧井と帰んだよ」
自分でいった言葉に
傷ついてる自分がいる。
「……なんかばっかみたい!
そんなこといってるから
うまく恋愛できないんだよ!
じれったいわね!」
さ、皐月??
「なんならあたしが花園さんに
声かけてきてあげようか?」
「っ、大丈夫だから!!
…わーったよ!」
いけばいんだろ…
俺は屋上をあとにした。
はぁ…
ゴリゴリ。
「ん?」
地べたにレジャーシートをしいて
お昼を食べていると
若菜が地面に正の字をかいていた。
「…若菜、それ何の回数?」
「んー?
弥生のため息の回数」
え。
数えてみると
24回。
「弥生ー…この10分で何回
ため息ついてんの」
自分でも思った
なんで?
「弥生は…さ、
言ったことはいままで
全部実行してきたよね」
…、「そだね?」
「…山里くんのことも?
ほんとに忘れることできる?」
っ…
「弥生」
「だって…もぉ…苦しい…」
苦しいんだよ…
二人を見ているのが…
「っ、山里くんはっ
わたしとの時間…いらないんだよ?」
貝塚さんといるほうが
多いじゃん…
「…弥生…
泣きなよ。大丈夫だよ
誰も見てないから」
っ…
若菜のひとことで
わたしの涙腺がゆるみ
一気にたまっていた涙が溢れてきた。
「ふっ…ぅあ…っ
うぇーーん…もぉ…むり…っ
辛いよぉ…!わかなぁーー」
よしよし
と若菜は抱きしめながら
わたしの頭を撫でてくれた。
「いいよ…全部だしきっちゃえ!」
「うっ…わぁぁぁぁん」
それからお昼休みはずっと
若菜のむねで泣き続けた。。。