えっ…
って皐月はすこし戸惑いを見せたが
すぐに
「…見た。けど、ここにくる気配は
なかったよ」
そのひとことが俺に
大ダメージをあたえた。
「そ…か、」
…なんで…?
お前から誘ったんだろ?
つか…
今日こそ花園と…
話したかったのに…
俺の決意は儚く崩れたんだ。
「…廉?」
「っあ、わり…」
「……ねぇ…こんなこと
あたしがいうのもおかしいけど…
もう少し花園さんに
優しくしてあげたら?
…多分あの子、相当傷ついてるよ」
……。
俺は黙って皐月の話を聞いていた。
「あたしとばっかいちゃだめだよ
もっと彼女を大切にしな?」
「……やっぱ、そうだよな…」
皐月のいうことは完璧な正論だ。
「あのさ。まさかとは思ってたけど
廉…あたしをつかって
花園さんにヤキモチ妬かせたかったの?」
…。
「図星ね。はぁ~…。単純!」
「…なんか皐月のいうこと
ぐさっとくるんだけど」
「それ相当のことした廉が悪い!」
ごもっとも。
「もお!あたしは大丈夫だから!」
「おう。
皐月さ…いいやつな」
「なっ…なにいってんのよ」
それからこの時間は
たっぷり説教を聞かされた。
「…女の話はなげぇのな」
皐月が先に教室にもどり
俺はひとり屋上で寝転んだ。
「っし。明日から頑張るか」
と力んでいたのに。。。
土日いらねーーよ!
決心ゆるむだろーが!!
なにも変わらないのに
土日に当たる俺って…
そして月曜日。
「はぁー…やっと月曜かよ」
力なさげに登校する俺。
ほんとは朝も花園といきたいんだけど…
俺が最初に断ってから
あいつからの誘いがなくなった。
だって恥ずいじゃんか?
あいつといると
いつでも顔が赤くなって…
にやけてしまうから。
それくらい好きなのに…。
本気かよ…花園。
教室にはいって一番にみたのは
俺のかわいい彼女…だったのに、
あいつのそばで
いつもは絶対ありえない状況が
起こっていた。
「……湧井、っ?」
クラスの人気者のそいつが
"弥生"
そうあいつのことを呼びながら
楽しそうに花園と話していた。
っ、
なんで…
俺だってあいつのこと…
"花園"としか呼んでないのに、、
湧井は…かんたんに名前で
呼んでんだよ?
つか…なんで一緒にいんだよ…
「れーーーんっ」
あ、
「皐月」
いつもの場所…
つまり花園の斜め後ろで
ロッカーにもたれる皐月が
俺をよんだ。
とりあえず鞄を自分の机において
皐月のもとへむかった。
が、俺のなかは花園のことで
モヤモヤしっぱなしだ。
そこで
衝撃の会話を聞いてしまったんだ。
「弥生、今日ひまー?」
…は?
湧井…?お前…なにいってんだよ
そいつは俺の彼女だぞ?
「んー?暇だよ♪
どーせいつもひとりだし」
ズキッ……
花園の放ったひとことが
俺の心を痛めつける。
俺が…
冷たくしすぎたからか?
だから…
湧井と?
そのとき俺は
となりにいた皐月の存在を忘れるほど
花園と湧井のことを見ていた。
「あ…なんか久々に
弥生の笑顔みれたな」
「だねっ♪」
…なんで、?
俺といるときは…
作り笑顔ばっかだったじゃんか?
なんで
湧井といると
笑顔になんだよ……
くそっ…
聞きたくても聞けない
弱い自分が憎らしい…。
「廉……」
「ははっ、…いいよ
昼休み…今日聞いてみるわ」
ついでに昨日来なかった理由も
聞かないとな…。