わたしは
花園 弥生。ごく普通の高校2年生。
そう、ほんとに普通で。
ひとつだけ普通でないことがある。
それは…
わたしの彼氏が学年1のイケメン
だということ。
なんだけど…
「廉ーーっ!」
「お!はよっ皐月」
わたしの目の前で繰り広げられる
毎朝の会話。
わたしの彼氏、
山里 廉。
と…
クラスの美少女の
貝塚 皐月。
…ここまではまだ許せる…よね。
けどさ?
「廉っ今日いっしょに帰ろ?」
「ん?いーぜ!んじゃ門でまっててな」
はぁーい
って甘い声が聞こえてくる。
二人の会話は一番窓側の
一番後ろにいるわたしの席まで
聞こえる。
なぜって?
その二人の会話が
わたしの斜め後ろで行われてるから。
おかしいでしょ。絶対…。
…なんていえないけどね。
てゆかそもそもなんでわたしと
付き合ったのかな?
告…られたんだけど。
告られる前よりも告られてからのが
貝塚さんと仲がよくなった気がする。
てゆか告られてから…
異常に二人が一緒のところを
見せつけられる。
「あ。花園、今日もごめん。
一人で帰って?」
……。
二人の約束から10分くらいしてから
気づいたかのように
わたしにそう伝えてきた。
てゆかさ…。
わたしたちが一緒に帰ったのって
付き合って一週間しかないじゃん。
それ以外は…全部断られた。
理由はそれぞれだけど
一番多い答えが
《皐月と帰るから》
なにがしたいわけ?
「…わかった。お昼は…?」
とりあえず返事はして。
「ん?昼?別にいーけど。
じゃ屋上な!」
「ん。わかった」
よかった…
お昼は一緒できるんだ。
…て、
カレカノなのはわたしたちなのに
こんなこと思うのも変だよね。
ーーお昼休みーー
「弥生…屋上いくの?」
そう聞いてきたのはわたしの親友、
高浜 若菜。
「ん…この時間しか一緒に
いられないし」
「…もぉやめとけばいいのに」
心配そうに顔をゆがめる。
「ありがと♪わかな。
心配してくれるだけで嬉しいよ」
「~~っ!もぅ!
弥生だいすき!お願いだから
傷つかないでね?」
そういって若菜はわたしに
抱きついた。
「ふふっじゃわたし
いってくるね♪」
はーいって若菜は
彼氏の元へ向かっていった。
…さて。いくか!
そう決意したわたしは
屋上へつづく階段を上る。
カンカンカン……
「あ…あなた…」
?
わたしの背後から聞こえた声…。
「貝…塚さん…、」
長いストレートロングの髪が
きれいになびくその姿は
誰が見ても一目で落ちそうな…、、、
「…ねぇ。もしかしてあなた
いつもこの時間にきてる?」
「えっ?」
「…あたしいつもより今日は早く
屋上いくの。
いつもは委員の仕事があって
遅くなるから」
…どういうこと?
「あなた馬鹿?だから!
あなたがいなくなるときと
すれ違いでいつも廉は
あたしと食べてるの!!」
……あ、そっか…
結局…山里くんは
わたしと二人の時間…なんて
いらなかったのか…