「どしたの?弥生、」
「え、あ、なんでもないよ
いこっか!」
…なにが、
言いたいの?
貝塚さん……。
もうわたしはあの人には
関わらないんだから…
自由にしてください。
すでに教室に彼はいなかった。
もう屋上で待っているのだろう。
…貝塚さんを。
俺は
山里 廉。
世にいうリア充だ。
けどリア充なのに
リアルは充実してない。
っつか彼氏彼女もちが
全員リアルが充実なわけねーよ!
誰がんな単語だしたんだよ!
別に付き合ってても幸せなやつら
ばっかが世間じゃねーっつの。
てのは俺らのことなんだけどな。
俺の彼女、
花園 弥生。
彼女…なんだよな?
時々不安になる。
あいつは…
好きっていってくれないから。
だから俺は…
元々前から仲がよかった
皐月と話しまくって…
気を引き付けてた。
金曜日も…
俺は皐月とふたりで
わざと花園の近くで帰りに
一緒に帰る約束をした。
聞こえてるはずなのに
あいつはこっちをみずに
なにも言ってこない。
しかたなく自分から
《一人で帰って》
そういってしまった。
したら花園は
わかった。
だけいって…
申し訳なさそうに
お昼は?
って聞いてきた。
さすがに俺も
気を引き付けるためとはいえ
花園不足になりそうで。
即オッケーした。
…ここんとこまじで俺ら
昼飯のときしか一緒にいねーな…。
それに…
最近あいつはちゃんと笑ったことがない。
付き合いはじめの頃はめちゃくちゃ
可愛い笑顔を見せてくれたのに……。
親友の高浜といるときでさえも
なんかぎこちない笑顔な気がする。
俺がそうさせてんのかな…。
俺が冷たくしてるからか?
俺が…前みたいに優しくすれば
あいつは笑顔になってくれるか?
そう思っても
勇気がない。
でもこのままじゃ
自然消滅…てやつになっちまう…。
それだけは避けたいんだ。
だから俺は決めた。
今日の昼は
絶対俺から話しかけてやるんだ。
そして昼休み。
カレカノなんだから
一緒にいけばいいものの
いつも時間差で俺が先に屋上へいく。
そう…
いつものこと……だったのに…。
今日にかぎって
花園のくるのが遅い……。
いつもならすでに来ている
時間、だよな?
なにかあったか…?
そう感づいたときに
ちょうど扉がゆっくりと開いた。