好き…だけどつらいよ…




嫌じゃない?



「そんなわけ…ないじゃんっ…」

辛いよ…?

「じゃあなんで……

!」


なんで、

その次の言葉をかける前に
湧井くんが目を見開いて
こっちをみた。


「花、園…」

「え、」

わたしの名前をよぶと

いつのまにか流れていた涙を
手で拭ってくれた…


「あ、れ?あはっ…
わたしいつのまにか泣いてたんだ」


「……無理、すんなよ」


その一言で…

無理やり作っていた笑顔が
泣き顔にかわって


一気に涙が溢れだした。






「ふっ…ぅえ…っ

ほんとっ…は、すごく嫌だよ…

なん、っで…グスッ
わたしじゃな、くて…
貝塚さんなの…、?」


「……うん…辛かったなぁ…」

「うん……!?

えっ…湧井、く ん!?」


湧井くんは優しくわたしを抱き締めた。


「ちょ…、」
「…んな辛そうにしてる花園、
黙ってみてる方が辛い」


っ……



「なぁ。

おれに考えあんだけど…

やってみる?」







その日、
金曜日がすぎて


今日、月曜日から
湧井くんのいった考えを実行する。





わたしが変わる。






「はよっ弥生!」

「若菜っ♪おはよー」

教室にはいって一番に
若菜を見つけた。





山里くん…は
まだきてないか。



ってもう関係ないけど。



「弥生!」


あっ、!

「え?いま…」

驚いてる若菜をおいて

「恭介くんっおはよー」


湧井く…恭介くんはわたしたちの
もとへかけよってきた。


「え、えぇ!?弥生!?」

あははっ若菜が超テンパってます。

まぁそりゃそうか。
いきなりそこまで仲良くなかった二人が
呼び捨てしあってるんだもんね


てことで若菜に二人で事情を説明した。



わたしの話をききおわった若菜は

「ほん…とに?
弥生…。」

「本気だよ、大丈夫。
若菜と恭介くんがいるし」

わたしがそういうと
二人は優しく微笑んでくれた


「それに…自分自身も
変わりたいって思ってたしね」

「…そっか」









わたしは




今日から山里くんと関わらない。



















ちがう。

山里くんの存在を……












わたしのなかから消すんだ。





「れーーーんっ」



…でた。



「皐月」

そう呼ぶのは。

金曜日まで…好きだった人。







実際はまだ好きだけど…


もう…忘れるんだ。




そうすれば前みたいな
醜い嫉妬や苦しみから
解放される。




これで満足なんじゃない?

お互いに。



「弥生、今日ひま?」

恭介くんはわたしの顔色を
うかがいながら聞いてくる。

「ん?ひまだよー
どうせ帰りもひとりだし」

あ。ちょっと嫌味に聞こえたかな。


少し気にするも
視線は山里くんにはむけない。


「ちょっとぉ!
弥生と湧井くんだけなんて
ずるいーーっ!」

若菜はわたしの机に
肘をついて膨れっ面になる。




「だって高浜、部活だろ?」

「うっ…

あたたた…お腹いたいから
今日は休もうかなぁー?」

…若菜よ。

そんなうそが通じるか!

「ほぅ?そーか腹いたか!
じゃ真っ直ぐ家にかえれな?」

「ぇえ!!!

うぅ~…湧井くんのいじわる!!」

あははっ

二人の会話がおもしろくて
思わず笑みがこぼれた。