好き…だけどつらいよ…






その夜に…廉からメールがきた。


もちろんその内容は
『花園と付き合うことになった!






皐月、ありがとな!』




その言葉を見た瞬間…


あたしの目から
一筋のなみだがつたった。。。



付き合ったことへの悲しみか…

"ありがとう"への嬉しさか…


あたしにはわからなかった。



廉が花園さんと付き合って一週間──。


あたしといる時間よりも
花園さんとの時間がふえた。


それは現実で…
苦しくてつらかった。

けど決してあたしといない時間が
なくなったわけではない。

それだけでも…あたしは満足だ。




そう感じていたのに…

一週間が経過してから───、


妙にあたしといた時間が…

前の頃のように戻った。


…というよりも増えた…?



帰りもあたしがすこし
おふざけのつもりで誘ったら
のってくるし…




廉には…花園さんのつらそうな顔が
見えないの?









そんなことされると…


諦めていた想いがまた…

あふれちゃうよ…。



花園さんには…悪いと思う。

けど…このチャンスは、、

おとしたくないの。




ごめんなさい…




でも友達…だから…。


友達以上、恋人未満。

それで十分だから。。。

「廉っ今日いっしょに帰ろ?」


ついこの前…

金曜日に。



…わざと…あたしは花園さんが
前にいるのにも関わらず
廉に話しかけた。

「ん、じゃあ門でまっててな?」



あたしは…そのとき

嬉しい

の感情しかなかった。







けどそれは…



その日にあたしの心が
揺れ動いたときだった。








お昼休み──…

学級委員の仕事が終わって
あたしは屋上に向かう…

それがいつもだったけど
今日はその仕事がめずらしくなく、
早くいこうと階段をのぼった。





カンカン



? 誰かうえに行こうとしてる?

少し早足であがり、
その後ろ姿をみつけた。



「あ、あなた…、」


「貝…塚さん…」



そっか…あたしが屋上に行く前まで
花園さんとすごしてたんだ。




…なんで?



どうして花園さんなの?



どうしてあたしじゃないの?




どうして…廉を横取りするの…?







不思議そうな…困ったような
表情にあたしは、、


「…あたしいつもより今日は早く
屋上いくの。
いつもは委員の仕事があって
遅くなるから」


嫌みのようにいった。

けどまだわかってない様子だった。


だから……

「あなたがいなくなるときと
すれ違いでいつも廉は
あたしと食べてるの!!」






そういった途端…


五段ほど上にいた花園さんの顔が

少しずつ歪んで見えた。

「っあ、の…じゃわたし…
教室戻りますね?
…邪魔してごめんなさい…」




もう泣いているかのように
声をとぎらせて…


あたしの横を走り去っていった。










あたしの胸に突き刺さる顔…




ちがう…

ちがうんだよ。花園さん…

あたしと廉は……友達だから。



ごめん…

ごめんね…。






そんな思いのまま…

あたしは屋上のドアを開けた。








案の定…廉の驚いたような…
悲しいような顔がみえた。



花園さんのことを聞かれて
悔しさから、、

さっきのことを言えなかった。




けど…その代わりに…


「……ねぇ…こんなこと
あたしがいうのもおかしいけど…

もう少し花園さんに
優しくしてあげたら?


…多分あの子、相当傷ついてるよ」


……。

廉はなにも言うことなく
あたしの話を聞いていた。

「あたしとばっかいちゃだめだよ
もっと彼女を大切にしな?」

ほんとは…離れていってほしくない。
あたしといてほしい。


けど…さ?

やっぱ思うよ。

「あのさ。まさかとは思ってたけど
廉…あたしをつかって
花園さんにヤキモチ妬かせたかったの?」

無言…ね。

「図星ね。はぁ~…。単純!」

「…なんか皐月のいうこと
ぐさっとくるんだけど」

「それ相当のことした廉が悪い!」








そっか…

ねぇ廉?

あなたは…あたしの気持ちに
気づいてたよね。

だから言うよ。


「もお!あたしは大丈夫だから!」

「おう。
皐月さ…いいやつな」

「なっ…なにいってんのよ」


そんな…
泣きたくなるようなこと
言わないでよ…



けどそんなだから
あたしは廉を好きになったんだよ。




ありがとう…。