「別れた日、海の誕生日だった」

「え?」

「プレゼント選んでるところに伊月くんに会ったから、海が好きそうなもの教えてもらってた。それを見かけて勘違いしちゃったのかもしれない」



里麻のふわふわな髪の毛が、元気なさげに垂れ下がっている。



「海がだめなら伊月くん――って考えちゃう自分がいて、自分にけじめつけたくて告白して振られたの。ごめんね、涼」



そう言って、頭を深く下げる里麻。


今の私には、「いいよ」なんて軽々しい言葉を発することなんかできない。