「――――涼」



突然耳に届いた自分の名前。


びっくりして振り返ると、そこに信じられない人影がたっていた。



「――里麻」

「伊月くん、大丈夫だった?」



里麻が何食わぬ顔で近づいてきた。



「まだ大丈夫みたい」



驚いているはずなのに、自然と答えている自分がいた。



「海から聞いたんだ」



いつのまにか私の前まできていた里麻が、柔らかく微笑んだ。