教室には、誰にもいなかった。 そういや、今の時間は体育の授業だったっけ。 どうりでがらんとしているわけだ。 私は昼休みに座っていた自分の席にことんと座る。 さっきの、伊月のぬくもりがまだ体に残っている。 あの感覚を、忘れることはないだろう。 窓の外から少しだけ見えるグランドから、かすかに声が聞こえる。 音が聞こえるって、当たり前じゃないんだ―――― そう考えていたときだった。