「いつかは涼に言わなきゃって思ってたんだ。でも――」 伊月は、悲しみをかみしめて言った。 「あのときのみのりみたいに、拒絶されないかってずっと悩んでた」 「拒絶なんてするわけないでしょ」 そうだ。 拒絶なんてするわけない。 伊月が苦しんでいるのを知っているんだから。 『願い続ければなぁ』 いつしか、伊月が呟いた言葉。 なんとも言えない表情で言った伊月。 それがやっと、理解できた。 これ以上、伊月を苦しめたらいけない。 苦しめたいわけがない。