「全部聞こえてるよ?」

気づいたら、五十嵐はしゃがみこんで、後ろから私の首に手をまわし、私の耳元でささやく。
「‥水着、かわいいじゃん」

「もう、やめてよっ」
私は乱暴に五十嵐の手をほどいて足からプールに飛び込む。

「ひゃっ‥」
思ったより冷たくて、つい声が漏れる。

五十嵐も、私の後からプールにはいってきて言う。
「お前のその声、ほんと可愛い。キスの時と同じ声。」

他のみんなはもうキャーキャーしながら遊んでいて、私たちのことなんか全然気にしていなかったのが不幸中の幸いだ。