「ネロなんか糞くらいだ」

そう怒鳴って昨日、私が帰った落とし前を私の顔面に一発くらわした。


「った…ごめんって……ちゃんときたじゃん…今日…」



赤くなった頬をさすりながらボソボソ百合に言うと



「ネロの席一番前だからね!」


そういって私の席であろう場所をニカッと笑って指差した。






うそ………教卓の真ん前じゃん。



「帰る」
「おいちょとまてぃ」

帰ろうと廊下に足を踏み出した私を逃がさないとばかりに私の腕を強い力で掴む百合。





そのまま
また強引に席に座らされホームルームが始まるまで話してた。


周りにいる子は、私を転校生のような目でみてくる。





「去年からいたっつの…」
「ネロが新学期からこなかったのが悪いんでしょ?」



百合は、そう言って日直の仕事があるからと出ていった。


誰が誰だか分からないのはお互い様ってことか…。





久しぶりの学校。
最後にきたのは、1年の終了式以来か………。


暇…。
学校って本当に楽しくない。

今ごろぐっすり眠れたのに…。



「な?自分も転校生なん?」


私がそんなことを思っていると
ききなれない関西弁が隣から聞こえてきた。




は?何こいつ?




最初は関西弁に抵抗があって

「違うし」

冷たく返事をしてた。




「そうなんや!俺、大阪からきてん」

それでもその関西弁は、なんて言うか……ポジティブ?って言うの?ずっとめげずにはなしかけてくるから、


いつのまにか打ち解けていた。



関西弁の名前は、

「俺、田原史也って言うねん!史也って読んでな!自分わ?」


史也って言うらしい。


「相瀬ネロだよ。ネロでいいよ」


「ネロか!珍しい名前やな」



史也は、なんて言うかチャラくなくて…どっちかって言うとスポーツ系だった。
短髪のサラサラヘアーで切れ長の目が猫みたい。
それに泣きぼくろ。



絶対モテるわ…。




そんなことを思う私だったけど史也には、たいして興味なんかわかなかった。



イケメンだねって思っただけ。