いつもの昼休み、僕たちは誰もいない屋上で、二人きりでお弁当を食べていた。

僕は焦っていた。

何故だ?

こんなに憎いのに。

こんなに恨んでいるのに。

こんなに殺したいのに。

彼女の笑顔を見ると、彼女の声を聞くと、彼女の仕草を見ると、彼女の匂いを嗅ぐと。

僕は彼女を殺せなくなっていた。

僕は愚かにも、彼女の言葉に微笑み、頷き、言葉を返していた!

なにをやっているんだ僕は!?

こんなにも僕の中には、彼女を殺さなければならないという衝動が渦巻いているというのに!!

何故、僕は迷うように鞄の中の彼女を殺す凶器を彼女の遠くにやっているんだ!?

僕は僕がわからない!!

なにをためらっているんだ!?

わからない!!!

この気持ちをようやく抑えきれなくなった僕は、薄い笑みを顔に張り付けながら、彼女に問い掛けた。

「君は、僕を殺したくないのか?」

昼休みが終わるチャイムが響くのが聞こえた。