私は彼と『同じ』だと知ったのは、高校二年生になって間もない、春風の強い日のことだった。

私は彼と手を繋いで、いつものように帰り道を歩いていた。

今日のクラスであった出来事や、昨日のテレビのこと、そんなくだらない話で、いつもと変わらずに笑い合っていた。

しかし、唐突に私は黒い感情に襲われたのだ。

何故だろう、私は彼が突然、憎くて憎くて堪らなくなった。

私はその感情のまま奥歯をギシッと噛み締め、彼の手に爪を食い込ませ、強く強く握り締めた。

彼の痛そうな小さな悲鳴が聞こえて、私はハッと我に返った。

彼の手の甲は、青紫に腫れ、内出血しているのが見て取れた。

私は不思議な感覚に陥りながらも、瞳に涙を溜めながら、彼に必死に謝った。

彼は困惑していたが、優しく微笑みながら許してくれた。

だが、きっと彼も私を憎くて憎くて堪らなくなっていたはずだった。

何故かはわからない。

だが、私はこの時感じ取った。

彼は私と『同じ』なのだと。

だから、私は彼を殺さなければならないのだ。

私を守る為に。