僕たちは違う。

遥か昔の『美夜綉』とは、違うのだ。

何故なら、僕たちは二人なのだから。

「僕たちは、『美夜綉』と違う。僕たちは二人なんだ! 君と僕は、お互いを想い合えるんだ! 愛し合えるんだ! 『美夜綉』のように自分しか愛せずに、涙で胸を裂かずにいられるんだよ!!」

僕は体中が熱くなっていた。

きっと僕の中の『美夜綉』が、贅沢な悩みで嘆く僕たちを怒っているんだ。

『美夜綉』は、決して叶えられない恋をして、死ぬ程に自分を愛せずにはいられなかったのに、僕たちはお互いを愛していて、愛することができるというのに、それでも嘆いているのだ。

バカらしい。

本当にバカらしい。

今ならわかる。

たとえ運命が僕たちを殺すのだとしても、僕たちは愛し合わなければいけないんだ。

これは、義務じゃない。

僕の心だ。

僕は彼女を、『同じ』『稲瀬優紀』を愛していく。

僕は、どんな運命だろうと、もう迷わない、間違えない。

僕はこの想いに従う。