「っ!!!」

僕は震えた。

体が壊れそうなほどに強い力で、彼女の言葉は僕を貫いた。

真に愛しているから?

そんな言葉聞きたくなかった。

そんな言葉を聞いてしまったら、僕は思い出してしまう。

君が『同じ』だとわかる前の気持ちを、思い出してしまうのだから!

「嘘だろ……」

「本当よ」

彼女の声は、静かで力強かった。

やめてくれ。

「私は貴方を」

やめてくれ、やめてくれ。

聞きたくない!

「真に愛してる」

やめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれ!!!!!!!

あまりの恐怖に、僕は手提げ鞄を地面に落としてしまった。

頭を抱え地面に膝を突き、うずくまる僕を尻目に、彼女は僕の鞄の口を開いた。

そこから、彼女は僕が彼女を殺すための凶器をとりだした。

凶器は日の光を浴び、鈍くきらめいた。

「私は貴方を殺せはしない……だから」

彼女は片膝を地面に付き、僕の方へと凶器である包丁の柄を差し出した。

「貴方が私を殺して」

僕は、胸が軋む音を確かに聞いた。